EC運営の現場で、こんなモヤモヤを抱えていませんか?
「毎日の出荷作業は増えている」
「前年比で売上目標も達成している」
「それなのに、決算書を見ると利益がほとんど残っていない」
多くの事業者はこのとき、「もっと売上を伸ばせば、後から利益もついてくるはずだ」と考え、広告費を増やしたり、セールの頻度を上げたりします。 しかし、その努力こそが「利益が残らない原因」そのものであるケースが少なくありません。
結論から申し上げますと、あなたのショップの利益を食いつぶしているのは「売れていない商品」ではありません。「売れているけれど、実は儲かっていない商品」です。
直感的には、「売れない商品(不良在庫)」が経営を圧迫していると思われがちです。 しかし、現金の流出という点でもっと深刻なのは、「ランキング上位の売れ筋商品」です。
分かりやすい例で比較してみましょう。
商品A(売れ筋): 売上10万円、粗利率15% = 利益 1.5万円
商品B(地味): 売上5万円、粗利率50% = 利益 2.5万円
ECサイトの売上ランキングでは、「商品A」が1位になります。 そのため、担当者は商品Aをさらに売ろうとして広告をかけたり、トップページの一等地に掲載したりします。 しかし、会社に現金を残しているのは、実は売上が半分の「商品B」なのです。
このように、売上規模だけで商品を評価してしまうと、「働けば働くほど、利益率の低い商品ばかりが売れていく」という構造が出来上がってしまいます。
なぜ、このような単純な事実に気づけないのでしょうか? それは、「見ている指標(モノサシ)」がズレているからです。
多くの現場で使われている「Google アナリティクス 4(GA4)」は優秀なツールですが、あくまで「アクセス解析ツール」です。 標準の状態では、以下の「経営に必要な数字」が見えません。
アクセス数(PV)
注文件数
売上金額
商品ごとの粗利額(いくら儲かったか?)
実質利益(クーポン値引き後の本当の利益)
在庫回転率(資金が寝ていないか?)
つまり、「売れたかどうか」は分かっても、「儲かったかどうか」は分からない状態で運営しているのが、多くのECサイトの実情なのです。
3つ目の原因は、「在庫」というコストへの意識不足です。 在庫とは、会計上は資産ですが、経営上は「お金が商品の形をして眠っている状態」です。
仕入れ値100万円の在庫が1年間売れない → その間、100万円は銀行にあれば使えたはずの「死に金」になります。
倉庫保管料がかかる → 置いておくだけで、毎月利益を削り取っていきます。
「売上」だけを見ていると、この「眠っているお金」が見えなくなります。 **「在庫回転率(年間売上 ÷ 平均在庫)」**が高い商品こそが、資金繰りを良くし、健全な経営を支える商品なのです。
この悪循環を断ち切るには、商品を評価する軸を「売上」から**「利益と在庫効率」**に変える必要があります。
具体的には、以下の4つのデータを商品単位で突き合わせることです。
商品別アクセス数(注目されているか?)
商品別CVR(定価でも買われる力があるか?)
商品別 粗利総額(会社に現金を残しているか?)
在庫回転率(資金を寝かせていないか?)
これらを統合して見ると、今まで見えなかった「真実」が浮かび上がってきます。
隠れ赤字商品: 売上はNo.1だが、広告費と原価を引くと赤字の商品。 → 対策: 広告停止、値上げ。
隠れスター商品: 売上は目立たないが、定価で確実に売れて利益率が高い商品。 → 対策: トップページへの露出強化、メルマガ掲載。
ECの利益を食いつぶしているのは、
売れていない商品ではありません。
集客不足でもありません。
「売上はあるが、利益を残さない商品」への過剰投資です。
「売上」という大きな主語ではなく、「商品ごとの利益」という解像度でデータを見ること。 これこそが、ECを「忙しいだけの場所」から「利益を生む場所」に変える唯一の方法です。
自社ECは「利益が出ている構造」になっていますか?
この記事で解説した
売上と利益がズレる原因
GA4では見えない“商品別の落とし穴”
を、自社データに当てはめて確認できるチェックシートをご用意しました。
✔ 商品別に「売れているけど儲かっていない」状態を洗い出せます
✔ 在庫・粗利・回転率を一気に整理できます